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人事制度に沿った運用ができる状態にカスタマイズすると、長期的には大きなプラス効果を実感 効果的人材育成にフル活用

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は人事考課を紙ベースで行っていたため、アナログ業務の負担が大きいのが課題でした。そこで目標管理・人事考課システム「人財CuBe」を導入し、大幅な業務効率化に成功しています。さらに独自の人事制度に沿ってカスタマイズすることで、効率的な人材育成も実現しました。今回は、人事課長の松村祐介さんに、人財CuBe導入の経緯と導入後の変化について伺います。


変わってきたJAXA の人材戦略

JAXA は多様な人材を必要としています。組織発足当初はシンプルに「ロケットと人工衛星の開発」に注力していました。しかし、近年ではCSRを重視するようになり、これまでは「如何に衛星を打ち上げる技術を獲得できるか」を考えていましたが、今は当たり前ですが、「衛星を打ち上げることでいかに社会貢献できるか(何のために宇宙航空開発をするのか)」が強く問われています。

そのためには技術力や専門力に長けた人材だけでなく、新たな事業やシステムを構想するクリエイターや、外部組織を巻き込んで協働するプロデューサー、プロジェクトを確実に遂行するプロジェクトマネージャーなどが必要です。
必要な人材を獲得する方法は、新卒・中途採用に加えて、適切な機会を提供し業務経験を通して能力を獲得するOJT、業務では習得が難しい能力を研修や資格取得などで培うOff-JTの3 つがありますが、8 割はOJT と考えています開発経験やユーザー調整は組織的に提供できますが、ジョブズ
のように“イノベーションを生み出す”スキルをシステマチックに育成することは難しいので、兼業やハブ組織など、通常業務と異なる多様な経験、多様な人材が糾合する場の設定などを通して能力開発を促がすように努めています。

人材を効率的に育成するために、能力要件を明確にして「組織が自分に何を求めているか」「どれくらいのレベルの能力が必要か」を本人に伝え、目指すべきゴールと今の自分はどの段階にいるかを比較し、ギャップを明示しています。そのため、能力等級制度を設けて、各等級において必要とされる能力を職務系統ごとに定義して、年度末の人事考課で能力の発揮状況を評価しています。クリアすれば上位の等級へと昇格できます。各級で必要とされる能力は表にして明示して、各人が「何が足りないのか」を把握しやすい状態にしています。

昇格すれば給与は上がりますが、課長、部長等の職位とは必ずしも連動していません。能力向上に伴い昇格しても、課長や部長などの役職につかず、高度な能力を有するプレイヤー(専門職)として貢献頂くケースもあります。
人事考課では目標管理制度(MBO)を導入しています。能力は主に業務経験から育成されるため、年度の始めに少し背伸びした挑戦的な目標を設定し、年度末の面談で達成状況を確認して評価します。評価する際は、設定した目標のレベルや難易度、成長の度合いや周辺状況等を総合的に見て判断します。


アナログ業務をシステム化して 業務効率向上

人財CuBeを導入するまでは人事考課を紙ベースで行っていたため、アナログ作業で効率が悪く、業務負担が大きいのが課題でした。本当の初期は各人が目標共有シートに手書きで記入、紙を回収したり、必要項目が記載されているか確認・修正したりする手間、誤入力などの人為的なミスが発生していました。
各部署で取りまとめる人間の負担も大きかったです。また、目標共有シートと人事考課シートを別々に管理していたので、印刷用紙のサイズや折り方がバラバラでスムーズにファイリングできなかったり、人事異動があると異動時にシートの管理漏れが出てしまったりと、とても管理しにくい状態でした。

そこで、2015年11月にビジネスネットコーポレーションの人財CuBeを導入することを決めました。1か月半で8回ほど打ち合わせし、JAXA の組織体制や人事考課について理解を深めてもらったうえで、2 〜3か月かけて要件をシステムに反映し、2016年4月に導入・運用をスタートしました。
JAXA 独自の能力等級制度やキャリア志向に対して、パッケージでは実現できない細かな設定を短期間で実現してくださいました。

導入後については、管理側の手間がなくなり、劇的にラクになりました。それだけでなく、当時の私は考課される側の職員でしたが、新しいシステムに移行したことを覚えていないくらい自然に利用できました。それまでエクセルに記入していた時と同じ感覚で戸惑わずに利用できたことは円滑な導入、定着の大きな要因と思っています。人財CuBe は、要望に応じて“細かくカスタマイズできる柔軟性の高さ”と“利用者の使いやすさ”が特徴だと感じます。コロナ禍になって、JAXAもテレワークを拡大していますが、(人事考課に関して)問題なく業務を進められています。


全職員の目標を共有し、育成を強化

人事制度に沿った運用ができる状態にカスタマイズすると、長期的に大きなプラスになると考えています。キャリアや等級によって求められる能力はひとりひとり異なるため、人事考課システムで、「次の等級に上がるにはこの能力がこれくらい足りない」ということを職員の目標設定シートに表示できるようにしました。
また、職員が目標を立てる時の参考として、全職員の目標管理シートをシステム上で公開し、「だれがどんな業務に取り組んでいるのか」をシステム画面から検索、閲覧できるようにしました。部署間の相互理解を深め、ロールモデルとなる職員の目標を参考にして自分のキャリア設計に活かすことができています。過去の目標管理シートを閲覧し、自身で振り返ることも可能です。“いい目標”を立てさせるために、ビジネスネットコーポレーションからこのような提案をいただき、活用しています。

将来的には、10年後、20年後、システムに蓄積したデータをもとに「何歳くらいにどの部署でどういう目標設定した人間が、能力向上や昇格のスピードが速いのか」といった傾向をトラッキングして、より効果的な育成方法やキャリアプランを考えていきたいです。


今後の取り組みと課題

これからに向けて今は多面評価や昇格推薦などのシステム拡張も行っています。多面評価を導入する目的としては、昇格や管理職の配置を決める際、上司の推薦や人事考課を踏まえて行うのですが、いずれも上位職からの評価であり、また業務成果が主たる評価の観点であることから組織をマネジメントする能力の評価精度が必ずしも高くありませんでした。そこで、部下や周りの評価を収集し、人材評価精度を上げるための材料として導入しました。あくまでも評価材料としてなので、本人に開示はしません。

今後の課題としては、定年延長によるシニア職員のモチベーション維持です。法改正で65歳までの定年延長が決まり、今後もさらなる雇用期間の延長が予測されます。役職が上がっていくキャリアだけしか成功モデルとしてイメージできないと、役職定年後のやりがいを見失ってしまうことも想定されるため、能力によって評価する能力等級制度を活かし、能力を発揮して貢献し、自身の成長実感、達成感をモチベーションとするマインドを醸成していきたいです。

ビジネスネットコーポレーションは契約の有無にかかわらず、問い合わせしてからのレスポンスが早く、丁寧にヒアリングして要望にとことん向き合ってくれました。JAXA独自の制度を理解しようと真摯に取り組んでくれた印象です。おかげで、JAXA に合ったシステムを構築できました。引き続きビジネスネットコーポレーションに相談しながら、必要に応じて人財CuBeをアップデートしてフル活用し、人材を育成していきます。

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