建設業
業務内容に即した適切な評価制度により納得性の向上に成功
業務内容に即した適切な評価制度により納得性の向上に成功
私たち大林組では、人事異動の多い建設業界ならではの人事考課の難しさのため、2002年4月に新人事制度がスタートしたのを機に、それまで紙ベースで運用されていた人事考課をすべてシステム上に移転。建設業界の業務フローに最適な、公平な人事考課システムを導入することで納得性を高め、社員のモチベーションアップに成功しました。
導入の背景 紙ベ一スの人事考課システムの非効率性を解決するために
私たち大林組は、1892年創業のゼネコン。歴史と実績が培った確かな技術とノウハウ、そしてかつてないスピードと規模で大きく変化する社会のニーズに対して敏感に反応する進歩性の高さを強みとし、ここまで成長して参りました。2008年からは新たな5カ年計画「中期経営計画 ’08」をスタートさせ、当社の競争力の源泉である「サービスと技術」を核とした成長戦略をとっています。
こうしたビジョンの中で不可欠なのが「人材」の育成。行動規範に「自らを高める」「常にチャレンジする」「柔軟に考える」「創造力と個性を発揮する」などが並ぶことからもわかるように、自主的にモチベーションを高めて自ら働ける人材育成に注力しています。
大林組では2002年4月から新人事制度体制がスタートし、その確立に向けた主要課題の一つとして、「人事考課の納得性の向上」が挙げられました。いうまでもなく、従業員にとって人事考課にどれだけ納得できるかは仕事に対するモチベーションを大きく左右する要素であり、ひいては企業全体の生産性・収益性をも左右するもの。そのためには、上司と部下とのあいだでの密なコミュニケーションと情報共有が不可欠となります。
しかし、当社には事業所(工事事務所を含む)が全世界に1200箇所と多数存在し、紙ベ一スの考課表の配布・回収に多くの時間と手間がかかってしまい、結果的に人事考課における面談等のコミュニケーションの時間を十分に確保することができなくなっていました。さらに当社では建設業という業界の特微として、工事竣工とともに職場が変わり、人事異動が頻繁におこなわれる上、一人の従業員が複数のプロジェクトを兼務するケ一スが多いため、公平性と精度の高い人事考課をおこなうのが困難でした。
そこでIT戦略の一環として、人事考課のシステム化を検討。全世界1200箇所の事業所をオンラインでつなぎ、年2回の考課をイントラネットまたはインターネット経由で利用するWebシステムを構築することとしました。
システムの特徴 業界特性を考慮した柔軟なカスタマイズ
システム化にあたっては、人事異動が多いという建設業の特性を踏まえ、納得性ある人事考課を推進する上で、以下に挙げる2点の工夫を行いました。
①期中人事異動が多く、評価期間内に複数の評価対象本務がある
⇒対象本務毎に評定を行い、期間按分により期末時1 本化を実施
②同時に複数工事を兼務している場合がある
⇒兼務職務を評定対象に加えるか否かを被評定者および上司の判断で選択できる
⇒選択された兼務職務は独立評定し、期末時本務評定に加味する
私たちがシステム化を検討するにあたって重視したポイントは2点。すなわち、「導入実績が豊富であること」と「カスタマイズ性が高いこと」建設業界ならではの変則的な労働システムに適合した柔軟なカスタマイズ性は決して欠かしてはならないものでした。そうした観点から私たちが選んだのがビジネスネット。業界のパイオニアとしていちはやく取組んできた実績があり、また豊富な経験 ・ノウハウを活かして当社からの様々な要望に適切かつ迅速に対応頂き高品質なシステムに仕上げてもらいました。
導入後の変化 フェアな考課システムがモチベーションアップを生んだ
システムを導入したことによる変化は、大きく以下の2 点となります。
①これまで全従業員共通としていた考課項目を、営業、管理、研究開発などといった担当業務別に細分化することが可能となり、評定者は評価を行いやすくなった。
②従来は紙の評定シートを利用しており、配布・回収に多くの時間や手間がかかっていたが、システム化して被評定者と上司の面談等のコミュニケーションに多くの時間を割く事で、正確性・納得性の向上が実現できた。
①と②の両方について共通した効果として考えられるのが、人事部門の業務効率の向上と、考課を受ける従業員側の納得度の向上です。とりわけ、人材育成の場面において従業員の納得度が低ければモチベーション維持は不可能であり、スムーズな情報共有によって評価システムのフェアさが認知されたことは個々のモチベーションアップに付与しているに違いありません。
当社が掲げる企業理念「想像力と感性を磨き、技術力と知恵を駆使して、空間に新たな価値を造り出す」そして「 個性を仲ばし、人間性を尊重する」というテーマにも合致した人材育成システムといえるでしょう。
今後の展開 蓄積されたデータを有効活用し更なる人財育成
当社ではこのシステムを2002年という業界の中でも早い時期に導入しているため、すでに8年分の運用実績があります。8年間の間に蓄積されたデータベ一ス、ノウハウ、ナレッジは当社の人事機能において価値あるリソースとなっており、今後はこのデータを活用して人材育成や各人の能力開発に役立てるデータ活用形システムの拡充も検討しています。
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